そもそも住宅の寿命とは?

そもそも住宅の寿命とは?

一般的に寿命とは、人間が生まれてから死ぬまでの期間のことである。もちろん人間にかかわらず全ての生物には人間と同じように寿命がある。また住宅についても、一旦建設したら永久に存在するわけではないため、住宅にも人間と同じように寿命があると考えることができる。つまり、住宅が生まれてから死ぬまでの時間を住宅の寿命として見なすことが可能だろう。

それでは、住宅が生まれてから死ぬまでとは、具体的にいつからいつまでのことだろうか。例えば人間が生まれた時点とは、卵子が精子を受精した時点なのか、新生児として出生した時点なのか、人によって認識が異なる。また、人間が死んだ時点も、脳が停止した時点(脳死)とするか、心臓が止まった時点とするか、医学界でも議論が分かれている。そのため寿命という概念は、認識の違いによって時間的な幅をもつと考えられる。

住宅の寿命についても、住宅が生まれるのは、企画の段階からなのか、工事を始める着工段階からなのか、それとも建物を使い始める竣工段階からなのか、人によって認識が異なるだろう。また、住宅が死ぬというのは、住宅を使わなくなってしまう段階なのか、取り壊す直前までなのか、もしくは完全に取り壊された段階なのか、議論が必要だろう。

実は、人間の寿命とは一般的に出生から死亡までの期間であるので、新生児として母胎から出生した時点から死亡と確認された時点までの期間を指すことが多い。しかし、住宅の寿命には一般的な定義がないため、その期間は場合によって大きな幅が生まれると考えられる。そこで、住宅の寿命とは竣工時点から取り壊しが確認された時点までの期間として、これからの話を進めていきたい。